木はそこに立っている
じっと動かずに
何十年、何百年と
地面は一面 緑の苔に覆われ
湿気を含んだ空気の中
ただひっそりと
木の葉をゆらし
たったひとりで立っている
動物が 鳥が 人間が
輪廻を繰り返し
通り過ぎていっても
根を張り 枝を伸ばし
静寂の中
憎しみも、愛も
留まることはなく
そこには唯、生命があるだけ
その根で水分を吸い上げ、
その葉でわずかな光を浴びて
いつか倒木となる日まで
静の仮面の下に
動を隠して
ただ
生命に満ちて 木はそこに立っている
誰かに 何処かに
私を受け入れる
そんな人が 存在するなら
私は
確かに 生きるだろう
いつか いなくなるとしても
私は 今 ここにいて
血の海も
いつか 虹になるだろう
貴方からの電話に
救われた
たくさん泣いた
伝えたかったこと
それは
貴方からの電話をありがとう
止めてくれてありがとう
泣いてばかりの私に
貴方のコトバを
ありがとう
明日は生きるよ
その先は闇だけど
いつか光がみえる
貴方のその優しい声を
ずっと聴いていたかった
貴方のの優しさに
触れていたかった
助けて
私を
助けてください
貴方の強さで
貴方の弱さで
まだ帰って来ない?
冷蔵庫に聞いてみても
どうせ冷たく笑われるだけ
ひとりの家はやけに無機質で
規則正しい空気清浄機と私は
お酒の波に呑まれてゆく
キーボードの音がカチャカチャと
無意味に指先からこぼれていく間も
携帯電話は未だ機嫌が悪いらしい
苛立ちや不安やもやもやを溜め込んだ胃が
私の代わりにキリキリと泣いて
時々きゅう、と信頼感を消化する
ああ。
頭が割れてしまわないうちに
君が今、帰ってきてくれたなら
ああ。
君が今
帰ってきてくれたなら
全てが
全てが元通りに動き出すのに
今は確かに美しいと思えるこの夕暮れ時が
あの頃の私には怖かったのです
刻々と闇に包まれていくのが
あの頃の私には怖かったのです
ひとりぼっちな気がして
世界の終わりのような気がして
切ないとも
寂しいとも違う
指先から冷たくなっていくような感覚に襲われて
私はその場で立ちすくんでしまったのです
絶対的な不安感の中で
途方に暮れるような時間の中で
今は確かに
絶望の欠片も感じないのだけれど
ひとは忘れてしまう
愛した気持ちも
切ない思いも
想い出はあっても
その時の気持ちは思い出せない
つらい気持ちを忘れずに生きていくかわりに
確かに愛した記憶も忘れてしまう
ひとは不確かだ
ひとは曖昧だ
今の儚い記憶を共有しているあなたを
大切に思う
この時間を大切に思う
忘れてしまう記憶たちを
愛しいと思う
愛しいと思うことを
忘れたくないと思う
そしてまた忘れてしまうと思う
愛した気持ちも
切ない思いも
想い出はあっても
その時の気持ちは思い出せない
つらい気持ちを忘れずに生きていくかわりに
確かに愛した記憶も忘れてしまう
ひとは不確かだ
ひとは曖昧だ
今の儚い記憶を共有しているあなたを
大切に思う
この時間を大切に思う
忘れてしまう記憶たちを
愛しいと思う
愛しいと思うことを
忘れたくないと思う
そしてまた忘れてしまうと思う
僕は君を知らない
僕は本当の君を知らない
僕は僕を知らない
僕は本当の僕を知らない
まだ眠る未知の僕は 今の僕の存在を知らない
全ての僕を知らない僕は
まして君のことなど 知るはずもない
今 僕は君の事を知りたいと思う
けれども僕は一体
君の
何を知りたいのだろうか?
全ては必然か
全ては偶然か
君の思うとおり
僕の考えたとおり
全ては進んではいなくて
だた、受け入れるか否か
君は迷っているだけ
僕は考えているだけ
確かに思ったとおりだったような
確かに描いたとおりだったような
と
全ては言い訳
全ては解釈
いいように
悪いように
全ては同じ








